包装紙ゆかを転がすハルヤスミ
小指からきよい大人になっていく 除光シートがやけにつめたい
イオンの屋上に火曜日見つけた
エプロンの ヨコ縞を寄せ 雪しまく
斜向かい コンクリートのアパートが 表情かえず泣く雪あやす
いい人でいたい登場人物の葛藤に マーカーの傍線
四季のない褒美があって 冷凍の箱にかがんだ背中をつつく
豆腐ならゼロカロリーと春疾風
帆をあげて デコポン色のセーターで独り居る 祖父の島まで、ねむる
立体のマスクをつけることでしか 前世の鳥を自覚できない
降車のランプに包囲され 滴り落ちるきみの手のひら
雪ふってぼくはうれしい。 書き順の番号付きで教えてくれる
あかねさす明朝体のラブレター ウスムラサキの切手を舐める
公式は知っているけど解けなくて ファンタの泡がさんさん昇る
おいしいと補足をつけた水を買う 冷えているのに泣けない水を
こたえ探しに飽きた ロールケーキのまんなかを刺す
助手席でほんとを少しだけ混ぜた ホットココアをひとくちあげる
ピザ生地をこころのように透明の 袋に入れてツンツンと揉む
菜の花を畳んでいては父の声
擬音語で表現すると君はふょい 発音はあとで教えてあげる
朝のコーヒーが眩しくて シンクで二度寝の抜け殻を眺める
誤字でした。 シュレッターにかけるために 生きてくだり坂
看板を溶かすネオンに落葉風
爪より薄くなったピック 今日からは百二頁に挟まれる役
やさしさの中心は風邪の日の母
冬の灯に抱きしめられて赤い君
贅沢な名をつけられて プルタブはまた来てしもたと ただいまを言う
教授との初対面は フレームを超えた憧れの人と錯覚
領収書のカーボン紙に爪走り 真っ直ぐに青い飛行機雲
A君の可愛くなりたいにせめて 唇の端 染めるケチャップ
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